批評の文化

●今日の朝日新聞の社説は、批評の文化――若者の学び応援したい―― である。ネット社会になって、多くの人々が自分の意見を発信している。評論家も多様化している。文芸評論家、社会評論家、歴史評論家、マンガ評論家、○○評論家・・・。facebooktwitterでつぶやく。全世界の人々が、老いも若きも、自分の意見を発信し、つぶやいている。インターネットが無ければ、考えられない現象である。
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(社説)批評の文化 若者の学び応援したい
2014年5月11日05時00分
 インターネットで本を見つけようとすれば「読者レビュー」が目に入る。レストランを探せば「口コミ」がついてくる。
 誰もが気軽に評価や感想を発信できる。かつては専門家だけがやっていた、批評を書き、それを公表することが、広く行われる時代だ。
 例えば文学賞は、「権威」であるベテラン作家や評論家が選ぶものだった。いまも多くの賞はそうだが、近年、読者に近い書店員が投票する「本屋大賞」が最も注目される賞の一つになった。11回と歴史は浅いが、毎春発表の受賞作は、直木賞より売れるともいわれる。
 専門家の見方と身近な人の意見。参考にする物差しが増えるのは良いことだ。こうした多様な評価をうまく活用するためには、自分も批評性をもって本を読み、他の人の批評を読み解けるよう、若いうちに学ぶ機会があるといい。
 明治大学准教授の伊藤氏貴さんが、おもしろい教育実践をしている。高校生が直木賞を選ぶ試みだ。候補作をすべて読み、議論を重ねて受賞作を絞る。全国で4校が参加し、今月、合同の選考会も開かれた。
 伊藤さんは「生徒らは初め、自分の意見が否定されるのを怖がるが、次第に異論を受け入れ、一緒に新しい発見をしようとし始める。磨き合い、批評の水準が上がる」と語る。
 これにはモデルがある。フランスで最も伝統ある文学賞ゴンクール賞とともに発表される「高校生ゴンクール賞」だ。四半世紀以上続き、2千人もの生徒が参加する。誠実な選考が信頼され、受賞作が本家をしのぐ売れ行きになることもある。
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●私は、大学卒業した時、芥川賞直木賞などの作品を読み、また、持込み原稿を読んで、文芸評論をやって見ようかと思ったこともある。雑誌・新聞に何点か応募したこともあったが、全滅だった。
●また、研究書ではなく、啓蒙書を文春新書から出した事があった。この時の、専門批評家以外の、一般の人々の批評、寸評、つぶやき、等々はすごかった。毀誉褒貶、入り混じって、怖いほどであった。言いたい放題だなあ、と思うものもあった。ネットでは匿名性が高く、感情的なものも多い。
●伊藤氏貴氏の教育実践は興味深い。高校生が小説を評価する試み、そこから文芸批評が芽生えてゆけば、とても嬉しい。