老舗古書店 一誠堂書店

●今日の朝日新聞、リレーおぴにおん 老舗の流儀 に、神田の古書店一誠堂書店の3代目社長、酒井健彦氏が登場した。一誠堂書店は、明治36年(1903)創業だという。創業者は、新潟長岡の出身、それで同郷の会津八一書の「一誠堂」の額を掲げる。2代目、前社長・酒井宇吉氏には、鹿島則幸氏桜山文庫の関係で、私も何回かお会いしてお世話になっている。
●店に入って、右側に国文学の棚がある。一番奥のあたりに江戸文学関係、真ん中の棚に書誌学関係、重厚な階段を登った2階は和本、溜め息が出るような本がずらりと並ぶ。
●創業、111年になる老舗の社長・酒井健彦氏は、古書の世界の現状を次のように考えておられる。
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 古書の世界は今、転機を迎えています。大抵の古書の相場はネットで分かり、素人でも本の買い付けや値付けができるようになった。店舗を持たずネット通販だけの古書店も増えたし、昔ながらの古書店は大変です。明治維新後、木版印刷活版印刷に取って代わられたような変化が、古書業界で起こらないとは限りません。
 そんな中、うちの強みは人脈です。長年の顧客が蔵書を整理する時など、市場に出回らない古書を入手する機会があります。そんな本はネットで調べても価値は分からないことが多く、知識や経験が必要です。きちんとした解説をつけてネットに出せば、海外の顧客も獲得できる。そろそろ反転攻勢に出よう、と思っています。
 (聞き手・撮影 太田啓之) 【朝日新聞 より】
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●昨年10月の古書展示即売会に、一誠堂書店は、南宋時代に刊行された、漢詩選集『唐人絶句』を出品した。価格は4億6千万円だった。入手した経緯は不明であるが、40年以上保管していたという。老舗とは、このような見識をもった人の営みがあるのだろう。
一誠堂書店酒井健彦氏
 朝日新聞 デジタル より