七つの仕事展 ―2013年秋 五風舎―

●教え子の、出村実英子さんから新しい作品のグループ展の案内が届いた。彫刻・陶芸・染織・家具などの作家7人展である。

分野の異なる七人の作り手が、
ずっと追い続けてきた技法で新たな作品を提案します。

■期間 2013年10月26日(土)〜11月4日(月・祝日)
■場所 五風舎 奈良市水門町45 電話 0742−22−5514

●案内書で、7人の作品を拝見すると、いずれも意欲的な、清々しい感じがする。出村さんの最初の個展を拝見した時、工芸の“芸”が強くて感動した。長年、タベストリーを中心に挑戦してきたが、今回はストールなどの身近で使えるものを出展したという。“工”の要素をつよくしたのであろう。私は、純粋な芸術も、もちろん好きであるが、工芸に、非常に興味がある。宗教絵画や建築の教会や神社仏閣に興味をもってきた。出村さんの最初の個展の時、こんな思いがした。
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●今日は、久し振りに京橋まで出かけた。出村実英子氏の織展―寂光―を拝見するためである。千疋屋ギャラリーは、東京駅八重洲口からすぐの所にあった。千疋屋本店の2階である。小ぢんまりとした、落着いたギャラリーである。作品は5点。入って両側に横長の淡い淡い青みがかった作品2点。奥の正面に、天井から3点がセットになって下げられている。周りを、少し早く歩くと、その織物はふわーりとゆれる。何とも、この喧騒の現在から遊離した、世界がここにはあった。たった5点で、この空間を支配していた。
●そのうちに、出村さんが見えた。しばらく、椅子に座って、この道に入った動機や、織りの魅力を伺うことが出来た。縦糸は黒色で千本ほどあるという。イメージをデザインして横糸を染め上げる。それを一本一本織るのだと言う。髪の毛ほどの絹の糸の光沢と淡い色彩。出村さんの卒論は芭蕉の『おくの細道』であった。私は、この作品の世界と芭蕉俳諧の特色と、どこかで通い合うものがあるように思った。
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●今後も、尽きることの無い美の世界を追求して、観る人の心を打つ作品を目指して欲しいと願う。
■七つの仕事展 ―2013年秋 五風舎―