『可笑記』 → 道徳教育教材集

●品川区立宮前小学校の『宮前小だより』平成25年4月30日発行、第2号に、校長の五関正治氏が『可笑記』の一文を引用して、礼儀について述べておられる。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
 礼儀というは 
  むかいの人によっておこない、
   時にしたがっておこなう、
    万事一ぺんに心得べからず
      如儡子  『可笑記
。。。。。。。。。。。。。。。。。
 この言葉は、東京都教育委員会より配布された東京都道徳教育教材集「心しなやかに」小学校3・4年生第一章「先人の言葉に学ぶ」に載っていたものだと言う。五関正治校長先生は、この如儡子の言葉を引用して、言葉遣いひとつとっても、時と場所と場合によって、それぞれ変化があることを説明しておられる。
●東京都道徳教育教材集、小学校三・四年生版『心しなやかに』は、東京都教育庁指導部義務教育特別支援教育指導課編集、東京都教育委員会発行の平成24年度版である。仮名草子可笑記』の1節が、このように、小学校道徳教育の教材に使用されていることを、インターネットで知り、感慨深いものがある。
●この1節は、『可笑記』巻2の48段にある。原本には、
。。。。。。。。。。。。。。。。。
▲むかしさる人の云るは、人間におゐて礼義を肝要と心得べし。礼儀と云は、むかひの人によっておこなひ、時にしたがっておこなふ。万事一へんに心得べからず。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
このようにある。
●この段は、林羅山の『卮言抄』第8段を利用している。
「礼ト云モ義ト云モ、事ノ宜キニ随ヒ、道理ニ背カヌ物ナレバ、一概ニ定メ置クベカラズ。・・・」
この、林羅山が引用した『孟子』の言葉を、如儡子は、さらに利用して、近世初期の読者に提供したのである。教訓的な仮名草子の代表作にふさわしく、私なども、教えられる点が多い。
●東京都道徳教育教材集『心しなやかに』を御恵与下さった、東京都教育庁指導部義務教育特別支援教育指導課に感謝申し上げる。
■『宮前小だより』平成25年4月30日発行、第2号

■東京都道徳教育教材集、小学校三・四年生版『心しなやかに』


■『可笑記』巻2の48段