中尾佐助氏の 『分類の発想 思考のルールをつくる』

●今日は、芸文稿の会の月例会があって、何と、私が研究発表の当番であった。仮名草子研究を振り返って、反省すべき点は反省し、改めるべき点は、潔く改めて、一歩を進めたい、という趣旨だった。参加者からは、厳しい御意見が出されたが、いくら歳は取っていても、知ったかぶりは禁物である。若い人々の御意見に謙虚に耳を傾けて初めて進歩はある。
●私は、平成2年(1990)、渋谷大盛堂で朝日選書の1冊に出会った。中尾佐助氏の『分類の発想 思考のルールをつくる』である。一読、衝撃を受けた。タクソン、クライテリオン、という言葉にも初めて出合った。
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「・・・今の世界には論理学という言葉はあっても、分類学という言葉はない。あるのは植物分類学とか、図書分類学とかいった言葉で、特定分野にのみかかわった分類学である。・・・このような命名の問題は、社会科学、人文科学の分野ではほとんど関心が払われず、混乱しているのが現状である。」
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●これは、ショックだった。私は、学生にも、大学の同僚にも、研究会のメンバーにも、この本を紹介した。反応は様々であったが、何人かは、シヨックを隠さなかった。中尾氏は、分類の精神を示すキーワードは、枚挙、網羅、水平思考だと説いている。
●ある酒席で、この本のことを話題にしたら、文芸評論家の梶木剛氏は、先刻御存知で、中尾佐助氏の本は全部読んでいる、と言われた。20数年前の事である。
中尾佐助著『分類の発想 思考のルールをつくる』