与謝野源氏の魅力

●今日は、芸文稿の会があり、田中宏氏の『源氏物語』現代語訳の問題点、という発表を拝聴することが出来た。田中氏は『芸文稿』の創刊号から、『源語』の現代語訳の現状に検討を加えられ、今回が7回目である。今日も貴重な研究結果を拝聴できて感謝している。
●与謝野、谷崎、円地、瀬戸内、玉上、等々の現代語訳を比較検討され、いずれが原作『源語』の真実に迫っているか、解き明かしてくれた。与謝野晶子は『源語』について、次のように記しているという。
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紫式部は、私の十一二歳の時からの恩師である。私は廿歳までの間に『源氏物語』を幾回通読したか知れぬ。それほどまでに紫式部の文学は私を引き付けた。全く独学であつたから、私は中に人を介せずに紫式部と唯二人相対して、この女流文豪の口づから『源氏物語』を授かつた気がしてゐる。(読書、虫干、蔵書)」
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●私は、大学1年から2年にかけて『源氏物語』全巻を読んだ。池田亀鑑の校注本を読む前に現代語訳で粗筋を頭に入れた。まず、谷崎源氏を全巻買って読み始めた。どうもしっくりしない。全巻購入したので、我慢して読んだ。しかし、どうも良くない。そこで与謝野晶子の現代語訳を購入して読んでみた。凄い、実に、スーっと入ってくる。谷崎源氏を書棚の奥に入れて2度と手にしなかった。確か、吉本隆明も与謝野源氏が良いと言っていたと思う。
●今日は、田中氏が、その根元を教えて下さった。感謝する。
与謝野晶子源氏物語現代語訳の原稿 桐壺  国文研デジタル より