変体仮名・草書体 

平安時代に開発された「仮名」は漢字の「真名」に対して、心情や状景を書き表すのに適していて、多用されてきた。中世までの写本は、漢文のもの以外は、多く変体仮名・草書体で書かれていた。近世に入、印刷術が開発され、最初は木の活字や銅の活字も使用されたが、やがて活字ではなく1枚の板に彫る整版の本が主流となった。言ってみれば、写本の複製印刷が主流になったのである。それで、近世の出版物も、変体仮名・草書体で伝わる事になった。
●私は、卒論で仮名草子を選択したが、未翻刻の作品も多く、変体仮名・草書体を読む必要があった。島本昌一先生の初期俳諧のゼミに参加している時、『貞徳自注百韻』などを翻刻するために、新典社発行の『写本解読の手引 仮名変体集』を購入に行った。私の記憶では、世田谷方面の御自宅に会社があった。受講生の分も含めて20冊ほど購入した。これが最初の手引書だった。その後、近藤出版社から『くずし字解読辞典』が出て、本当に助かった。児玉幸多編のこの辞典は、草書の解読に参考になった。
誠文堂新光社の辞典部で、漢和辞典、実用国語辞典の編集を担当していたが、漢和辞典では、各親字に草書体を添えた。また、実用国語辞典の附録には「変体仮名一覧表」を加えた。自分のの専攻の分野のものを追加したかったのである。
■『写本解読の手引 仮名変体集』

■『くずし字解読辞典』

■『実用文字のくずし方』
  大正8年 立川文明堂発行

■『筆順部首 机上漢和辞典』本文
ペン習字界の第一人者、三上秋果先生 筆

■『机上辞典』附録「変体仮名一覧表」
  大島香鳳先生 選書