株の世界 相場師

●私は、高校生の頃から、株式市況には興味を持っていて、時々、新聞の株式欄には目を通していた。ニッセメ、キャノン、ニコンなど見ていた。金儲けするには、人を使うか、商品を動かすか、株式を利用するか、だと考えていた。大学で日本文学研究に入ったが、自分に能力が無いと判断したら、即、撤退して金儲けに進む予定だった。結果、幸か不幸か、最期まで、文学研究を続ける結果になった。
●今日の「天声人語」は、最近の株式、ファンドに関して、ウスウス感じていたことを整理してくれて、大変分かりやすかった。私の感想では、株式の世界も、ビッグバン、ネット参入と世界的になり、ナサの頭脳が世界の投資家をだます段階になったと思っている。それに、御家庭の奥様まで、ファンドに手出ししている。これでは、国ひとつつぶすことも有り得る。前置きは、これまでとして、本日の「天声人語」を紹介する。
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バブルのころ、仕手筋(してすじ)と呼ばれる相場師たちの取材をしたことがある。株の世界で、特定の銘柄を狙い、巨額の資金を投入して値をつり上げる。一般の提灯(ちょうちん)買いも誘って、高値で売り抜け、大儲(もう)けする▼危ない橋を渡る人もいた。暴力団に殺されたり、行方不明になったり、奈落の底への転落も相次いだ。最近、そういえば仕手筋の噂(うわさ)話をあまり聞かなくなったなと思い、その世界に明るい人に聞くと、もはや際だつ存在ではないという▼いま市場を動かすのはヘッジファンドであり、海外投資家である。売り買いの方法も様変わりした。コンピューターを使い、千分の1秒単位で自動的に売買を繰り返す。機械任せの超高速取引に、相場師の経験や勘が入り込む隙はない▼先週木曜、13年ぶりの下げ幅となった東京株式市場は、週明けのきのうも荒れ模様が続いた。日本株を買ってきた外国人投資家が、当座の利益を確定させるため、一転、売りに走ったという。高速取引も株価急落に拍車をかけたらしい▼アベノミクスへの「期待」が先行しすぎたので一時的に調整が起きている。市場関係者にはそう見る向きが多い。市場が日本を見放したとまではいえない、と。見立てどおりの展開となるかどうか▼期待が経済を左右する。不安定だが、資本主義とはそういうもの。「だましだましやっていくしかありません」と、岩井克人(かつひと)・東大名誉教授が先日の本紙で語っていた。その技量を、安倍政権が持っているか。試される局面である。
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■5月28日「天声人語」 朝日新聞デジタル より