村上春樹 新作 50万部

村上春樹の最新作『色彩を持たない・・・』が発売され、版元の文藝春秋は予約注文が殺到し、増刷合計は50万部だという。多くの読者に迎えられる作家だと言える。朝日新聞は「超速レビュー」として、吉村千彰氏の記事を掲載している。
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主人公の多崎つくるには、高校時代、親密な友だちがいた。彼らの姓にはそれぞれ「赤」「青」「白」「黒」という文字があり、「多崎」だけが色と無縁であることに「微妙な疎外感」や不安を感じていた。一人だけ故郷を離れて東京の大学に入ったつくるは、突然、4人から絶交を言い渡される。理由がわからず、激しい喪失感と孤絶感に襲われる。そして、前述の書き出しのように「死への憧憬(しょうけい)」にとりつかれるのだ。
現在、36歳になったつくるは、鉄道会社の駅舎の設計をするエンジニアになっている。実家は裕福で「一見優雅」な独身者だ。だが、不条理ともいえる友からの拒絶は、つくるの心の奥にダメージを残していた。そして、好意を抱く女性から「過去と正面から向き合わなくてはいけない」といわれたつくるは、16年前の拒絶の「理由」を探し求める旅(=巡礼)を始める。
「自分を、色彩とか個性に欠けた空っぽな人間みたいに感じてきた」というつくる。だが、これまで、そのよるべなさを直視してこなかった彼は、「いわば自らの人生からの亡命者としてそこに生きていた」。 (朝日新聞デジタル より)
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●これは、吉村氏の記事の中の、内容紹介の一部である。村上春樹の3年ぶりの書下ろし小説ということで、文藝春秋も書店も読者も、盛り上がっている。以前は、小説で売れるのは、芥川賞直木賞の受賞作ということで、この発表には、注目が集ったものである。今は、これに本屋大賞という書店員の選ぶ賞も加わって、出版界を盛り上げている。
●私も、大学卒業後、小さい出版社の編集部にお世話になったが、この時、私の担当した、安藤鶴夫の『巷談本牧亭』が直木賞を受賞したことがある。初版はA5判の上製箱入だったが、受賞と同時にB6判の普及版を出して、面白いように売れた。この会社を辞める時、編集長の森本さんにお願いして、上製本を頂いたが、今は、どこかへいってしまった。
●ただ、ベストセラーと言っても、版元として注意しなければならないのは、返品の問題で、ベストセラーを出して倒産した会社もあるので、このあたりは、増刷の難しいところである。
■『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 朝日新聞デジタル より

■発売初日の書店  朝日新聞デジタル より

三省堂書店は 「村上春樹堂」 文化通信より