愛犬 トラの生涯

●息子が小学生の頃、柴犬の仔犬を拾ってきた。耳はピンと立ち、鼻は黒く、尾はクルクルと巻き上がった名犬。近所の専門家は血統証つきだネ、言っていた。落とし主を探しても見付からず、我が家で飼うことにした。名前は「寅次郎」と命名、しかし、犬猫病院へ行ったらメスと判明、そこで「トラ」と改名。以来、22年の長寿を全うした。
●散歩と世話は、最初は息子もやったが、生涯を通じて、全て私が担当した。1度仔どもを3匹産んだ。メスはフランス人に上げ、オスは板橋の兄の知人に上げ、もう一匹は郷里の身延の実家へ上げた。その前に、昭和女子大の国文科の学生に、授業中に写真を回覧して、貰い手をさがしたが、希望者は無かった。
●とにかく、可愛くて、利口な犬だった。ただし、飼い主の私が自由放任主義で何も教えなかったので、芸はしなかった。芸はしないけれど、もともと、利口な犬ゆえ、悪いことは余りしなかった。
●22年間も生きたので、晩年の1年間ほどは、散歩の時間も少なくなったし、最晩年は、私を間違えて吼えたりした。昭和女子大の太田先生がプレゼントしてくれた高級マットの上で最期を迎えた。
●今は、他界した家族の写真と一緒に仏壇に飾って、お線香をあげている。22年間も世話をすると、自分の息子と同じように可愛くて、時々、息子をトラと呼んで失礼した事もあった。謝々。
■これは、前の家の前で

■仔どもを3匹産んだ

■お隣の宗像さんが撮ってくれた
 今も、テレビの上に飾っている

■最晩年の頃 この写真を仏壇に飾っている