出版界 「紙か電子か」の時代ではない

電子書籍の時代に突入した出版界、様々な問題をかかえながらも、この時代の波に抗うことは出来ない。明治以後、和紙と洋紙、活版とオフセット、様々な変質をたどってきた出版界は、今、紙か電子かの問題に直面して、「紙も電子も」の方向に進みつつある。

●今日の朝日新聞は、この出版界の問題点を報じている。
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 講談社は先月22日、人気コミック「宇宙兄弟」の第18巻を紙と電子で同時刊行した。29日から始めた電子書籍のキャンペーン「夏☆電書2012」では、約300作品のうち10作品が紙と電子の同時発売だ。
「6月を目標に、著作者の許諾が得られた新刊を紙と電子で同時発売できる体制作りを目指してきた」と古川公平取締役は語る。同社は年間、書籍を約1800点刊行。電子書籍の刊行ペースは月100点余りで、「ほぼすべての作品で『同時』が可能な体制が整いつつある」という。
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 一方「安全性を考えると今は『同時』は無理」と語るのは、岩波書店田中正明編集委員だ。昨年11月から岩波新書と岩波ジュニア新書の電子版定期配信を始めたが、前々月の新刊以前の既刊書からの電子化だ。
 従来は、紙の本の校了後に電子化し、再現性のチェックに最低でも2、3週間かかるのが一般的だった。「同時」への移行には作業工程の全面的見直しが必要になる。
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 通常、電子の値段は紙の7割程度の設定が多いが、「同時」では紙の9割以上が多い。今後「同時」に踏み切る出版社はさらに増えそうだが、ユーザーがどう受け止めるかは未知数だ。
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 日本の電子書籍の市場規模は昨年度で629億円(インプレスR&D調べ)。2016年度には2千億円程度になると予想されている。出版社にとっては、もはや「紙か電子か」というレベルではなくなりつつある。

 電子書籍では、旧作をまとめて買う「大人買い」など、新しい需要も期待できる。講談社の古川取締役は言う。「電子という新しい市場でも、紙と同様のシェアを取れる体制をつくる。ノウハウさえあれば倍増も可能だ」(竹端直樹)
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●このレポートで、紙の書籍を電子書籍として販売する時の、様々な問題点を知ることができる。出版界はネット社会の濁流に晒されている。
朝日新聞 7月10日