最高の読者 感謝

●深沢さん、元気? 今、何しているの? 電話の向こうで赤井先生のお声が聞えた。深沢さんの百人一首翻刻篇を読んでいて、今、50首まで来ましたよ。

●小学校の恩師・赤井須磨子先生である。拙著『如儡子百人一首注釈の研究』を差し上げたら、御高齢の先生が、研究篇はむつかしいから、と申されて、翻刻篇を読んでいて下さり、今日、第50首目まで進んだと申される。有難いことである。

●赤井先生は、幼い頃から、御家庭の中で、よく、百人一首を詠んだり、取ったりして遊んだと申される。私などは、せいぜいカルタ遊びであったが、お父さんも、お母さんも教職に就かれていた御家庭ゆえ、正月は、百人一首で遊んだそうだ。先生は、電話の向こうで、「君がためおしからざりし命さへ・・・」ど吟じて下さった。

●きみがためおしからざりしいのちさへながくもがなとおもひけるかな
                                 藤原義孝
「あなたのためなら死んでも惜しくはない、たった一度でもお逢いできればと思ったこの身も、逢って帰って来た今では、急に惜しくなって、末長く逢いたいと思うようになったことだ。」

●今度出した、拙著など、このように、熱心に読んで下さる方は、そうそういない。有難いことである。

■『砕玉抄』第49番歌