長谷川卓 最新作 『野伏間の治助 北町奉行所捕物控』

●このところ多忙であったが、今日、長谷川卓の最新作『野伏間の治助 北町奉行所捕物控』(ハルキ文庫、2012年4月18日、角川春樹事務所発行、定価743円+税)を一気に読んだ。実に面白い。物語は、北町奉行所臨時廻り同心、鷲津軍兵衛を中心に展開する。巻頭に主要登場人物一覧があるので、これを確認しながら読むことになる。また、物語の場所は江戸図で確認する。お馴染みのシリーズゆえ、ストーリーにすぐ引きこまれる。それに作者の練達な文章がみごとである。

●物語は、江戸の街に発生した殺人事件を奉行所の与力・同心たちがその犯人を追跡して逮捕するのだが、今回の物語は、張り込みが面白い。現代テレビドラマの敏腕デカの活躍を思わせる。大物の逮捕にはそれなりの、大きな仕掛けが必要になる。

●作者は、巻末に〔参考文献〕を列挙しているが、小説の中で教えられる事が多い。私など、長年、江戸をかじってはいるが、今度の小説でも少なからず学ぶところがあった。作家は読者にとっては先生でもある。

■『野伏間の治助 北町奉行所捕物控』

●この作品では『武鑑』が出てくる。私も当時の時代背景を知る上で、『武鑑』はよく利用した。

天保12年の『袖玉武鑑』
大老、井伊掃部頭

■普請奉行

町奉行