朗報 「レイン・コレクション」 に光

●今日の日本経済新聞に、ホノルル美術館所蔵の、リチャード・レイン氏が収集した和本の「レイン・コレクション」の調査が、九州大学の研究者によって進められていることが報じられている。リチャード・レイン氏のコレクションは有名であったが、その実体は判然としなかった。レイン氏は、2002年に他界され、レイン氏と交流のあった、ホノルル美術館が買い取ったという。

●今回の所蔵本の調査には、花田富二夫氏・勝又基氏・松原孝俊氏などが参加しておられるとのこと。この蔵書の目録作成を提案されたのは中野三敏氏だという。レインコレクションが一時、京都にあった時、原物を見て、目録作成の必要性を思ったという。非常に有意義な提案であり、実践だと思う。

●コレクションの全タイトルは3000に及び、しかも、仮名草子が600点もあるという。これは、仮名草子研究者にとっては大きな魅力だ。今後、しばらく、ホノルル通いが続くだろう。

仮名草子研究の花田富二夫氏は、「江戸初期はまだ出版活動も盛んでなかったため、現存する木版本は少ない。同一作品の異版本をこれほど同時に参照できる環境は、日本にない」と語っているという。花田氏は『仮名草子集成』の責任編集者でもあり、今後、この調査結果が、仮名草子研究に活用されることを、大いに期待している。

●目録の完成までには、5、6年はかかるとのことであるが、ホノルルはアメリカとはいえ、日本の近くであるから、今後も調査を積極的に進め、その成果を近世文学の研究に活用して欲しい。

日本経済新聞 3月31日