『虚子研究号』 創刊

●俳誌「夏潮」の別冊として、「虚子研究号」VOL.Ⅰ が8月1日に創刊された。高濱虚子の文学を高く評価し、尊敬し慕う人々によって定期的に発行されている「夏潮」の別冊である。

■目 次

Ⅰ、虚子の子規追善 ・・・・・・・・・・・・ 井上 泰至  2
2、「虚子の書簡」から ・・・・・・・・・・ 栗林 圭魚 12
3、虚子連句私解 ・・・・・・・・・・・・・ 大島 富朗 20
4、「白露物語」基礎研究 ・・・・・・・・・ 前北かおる 32
5、新出資料、虚子「三畳と四畳半」自筆原稿から
         ・・・・・・・・・・・・・ 本井 英  46
6、記念館だより ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

●全58頁の小冊ながら、創刊号にふさわしく、収録された、それぞれの論考は、虚子への熱い思いが伝わってくる内容である。

●私は、近世初期の大啓蒙期の文芸の実態解明に一石を投じたいと『近世初期文芸』を創刊したが、その頃を思い出す。昭和44年(1969)のことで、40年余前である。今、第28号の準備中である。

●大島氏の「虚子連句私解」は、昭和19年(1944)12月に明治神宮に奉納された歌仙の詳細な注解である。高浜虚子柳田国男・伊東月草・佐藤要人・折口信夫深川正一郎・高浜年尾などが参加している。発句は「唯祈る月明くとも暗くとも 虚子」である。今回は、一オ四句までの注解であるが、詳細を極める。大島氏には、「子規連句私解(1〜32)」(昭和女子大学「学苑」)があり、子規の百韻の注解としては、前例のない、詳細・膨大なものであり、労作である。この百韻の注解は、ほぼ完結しているが、単行本として刊行されることが望まれる。

■「虚子研究号」VOL.Ⅰ