ワープロ → パソコン

●短歌雑誌 『あかね』 第27巻第3号、2011年5月号 を頂いた。郷里の大先輩、若宮貞次先生が主宰する雑誌である。27巻であるから27年間継続している。同人歌人も多い。頭の下がる作歌活動である。

●作品集(その1)に、若宮貞次先生の次の歌がある。

 キーひとつうごかずなりしワープロにいらいらとして半日ありぬ
 三十年使ひ来たりしワープロに替るパソコンおぼえむとする
 八十代半ばとなりて志すパソコン操作は人に頼らず
 パソコンのマニアルを読む生ま煮えの外来語句にとまどひながら

●歌にあるように、若宮先生は85歳になる。その先生が、30年間ワープロを使用してこられ、今、パソコンに切り替えておられる。これは、驚きであり、頭の下がる執筆姿勢である。30年前からワープロを使っておられるというと、私より少し前からである。

●私がワープロを始めたのは、確か、昭和59年の頃だったと思う。国文学科の学科長であった原田先生がワープロを購入され、先生の研究室で練習させてもらった。折角だから「私の『源氏物語』」という、学生時代に、秋山虔先生へ提出したレポートを入力した。ワープロからパソコンへの切り替えは、文春新書の原稿からであるから、70歳頃ということになる。

●ヒョッとすると、若宮先生は、隔月刊の短歌雑誌『あかね』の原稿を、同人から寄せられる歌もすべて、御自分で入力しておられるのだろうか。ますます、頭の下がることである。

■『あかね』 第27巻第3号、2011年5月号