長谷川卓 最新作 『逆渡り(さかわたり)』

●長谷川卓の最新作、書き下ろし 『逆渡り(さかわたり)』(2011年2月15日、毎日新聞社発行、定価1500円+税)が発行された。文庫本では無くB6判の228ページの力作である。

「生きるために渡るのに対し、仲間との再会を期せず、死に向かって一人で渡ることを、山の民は逆渡りと言った。(本文より)
一所に定住せず、山野を渡って生きる放浪の山の民。武田信玄長尾景虎が台頭し始めた上信越の山野を、老渡り・月草は集団を離れ、独り北へ向かう。亡き妻が遺骨を埋めて欲しいと望んだ、あの山桜の木の下まで。」(オビ)

●長谷川卓の時代小説では、「北町奉行所捕物控シリーズ」「戻り舟同心シリーズ」なども面白いが、私としては、『死地 南稜七ツ家秘録』『血路 南稜七ツ家秘録』の方が楽しいし、為になる、という点で記憶に残る。今回の作品は、この山の民を取り上げた力作である。

●私は、このところ、いろいろ立て込んでいて大多忙、すぐには読めない。一段落して読めるのを楽しみにしている。それにしても、山本一力佐伯泰英などなどと共に、題名の付け方が上手いと思う。

■長谷川卓『逆渡り(さかわたり)』