竹馬の友の歌に感激
●先日頂いた短歌雑誌『あかね』第27巻 第1号をぱらぱらとめくって歌を鑑賞していたら、「佐野正枝(身延)」という人の歌に出合った。もしや、あの幼友達ではないか、と1年振りに電話をしたら、小学校の同級生、しかも、私の家の隣の正枝さんの歌だった。彼女は、劣等生の私と違って、小学・中学とも優等生だった。『あかね』の同人となって、日常生活を歌に詠んでいるという。
佐野正枝(身延)
この頃は自分の体をいたはるを第一として庭の草とる
奥入瀬を歩けば早くもとちの実のころがり居りぬいくつか拾ふ
雨上がり結球始まる白菜の苗で難儀のこの夏すごす
大旱に耐へて実りし枝豆によくぞよくぞと言葉かけをり
秋空に映えるはづなる柿の実の一つも残らず猿めら荒らす
●幼い頃から、隣同士で遊んだ彼女が、今は、私と同じ後期高齢者となり、お子さんも大きくなり、お孫さんに囲まれながら、幸せな日々を送る、その生活の一こま一こまが歌の中に詠み込まれ、誠に懐かしい。そうか、私の生れ故郷にも、「猿めら」が出没しているのか、そして、私も頂いた、あの甘くて美味しい柿を荒らしているのか、つい微笑まれるひと時を頂いた。