佐藤かつら氏著『歌舞伎の幕末・明治 小芝居の時代』

●佐藤かつら氏の『歌舞伎の幕末・明治 小芝居の時代』が発行された(2010年4月20日、ぺりかん社発行、7500円+税)。浅学の私は、この佐藤氏の労著によって「小芝居」という事を詳細に教えて頂いた。江戸時代の演劇で、幕府の許可をもらって興行していた、江戸三座のように大きな劇場で行われていた芝居ではなく、宮地芝居や草芝居などらしい。従来、余り研究されていない分野を、新たに開拓された労作だと思う。

●佐藤氏と初めてお会いしたのは、かなり前に、近世文学会の会場だったと記憶する。イタリアの仮名草子を研究しているラウラ・モレッティ氏が東大でお世話になっていて、そんな関係だったと思う。以後、折々、発表論文を頂いたが、その都度、教えられる点が多く、感謝していた。

●本書は、平成19年に東京大学へ提出して、博士(文学)の学位を取得された論文に、その後発表された論文を加えてまとめたものであるという。現時点における佐藤氏の御研究の集成ということになるだろう。第1次資料に基づく調査に支えられた労作だと思う。春秋に富む著者の今後の期待は大きい。
★本書の詳細目次→http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■■佐藤かつら氏著『歌舞伎の幕末・明治 小芝居の時代』