ギリシャ神殿の危機

●私は、平成5年(1993)8月、ギリシャパルテノン神殿の大理石の柱に直接触れて、夢のように感動した。石田英一郎先生の文化人類学の講義を受けて、憧れていた大理石の輪切りの柱が目の前にあることに感動した。金融ビッグバン以後の、円高の恩恵であった。この旅の時、ホテルの前にはオリンピックの会場のように、各国の国旗が林立していた。EUの政治的統合の前触れであった。そして2002年統一通貨ユーロが使用され始めた。2004年には25ヶ国の大欧州連合がスタートした。私は、以後、ドル・ユーロ・円・・・の動向を興味をもって眺めてきた。新しい世界通貨の安定が望まれたからである。

●今週の『ニューズウィーク日本版』に、藤田岳人氏の「ギリシャが揺らすユーロの神殿」が掲載されている。現在、古代オリンピック発祥の国が経済危機に見舞われている。ギリシャ財政赤字に陥って、債務不履行になったら、これにEUはどう対処するのか。ドバイ・ショックの時は、オヤオヤと思っていたが、今度はそんな暢気なことでは済まされないだろう。

小泉政権郵政民営化を実施した時、文学畑の素人の私が心配したのは、世界は、金融ビッグバンを経てネット社会になっていたが、この未知の状況への対応であった。私は莫大な郵貯資金のゆくえが心配です、と経済通の古屋氏に質問したことがあった。ブレーンがキチント対処しますから心配ありません、との御返事だった。先日の報道によると、ギリシャの公的債務の約3分の2は外国人が保有しているという。さー、どーする。

■■『ニューズウィーク日本版』2010・2・24 から

■■アテネアクロポリスパルテノン神殿 1993・8・27 ニコン801