童門冬二 『鈴木正三 武将から禅僧へ』

童門冬二の『鈴木正三 武将から禅僧へ』が出た(2009年6月30日、河出書房新社発行、1700円+税)。

「仏の道に入った戦国武将 島原の乱で荒廃した地に、領民のこころの復興を期して、ひとりの禅僧が現れた。将軍秀忠の家臣の地位を捨てた、鈴木正三という。
力強い「仁王禅」と念仏を奨め、後世の仏教思想にも影響を与えた、憂国の禅僧の教えと波瀾の生涯を描く。」(オビ)

●私などは、仮名草子『因果物語』の作者として知り、やがて禅僧であることを知った。徳川2代将軍・秀忠の時代、元和6年(1620)42歳で出家したという。この、戦乱と啓蒙の時代に、武士たちは、様々な生き方をした。斎藤徳元は武将から俳諧師へ、斎藤親盛(如儡子)は武士から仮名草子作者へ。

童門冬二は、かつて『老虫は消えず 小説大久保彦左衛門』(1994年、集英社発行)を出し、大久保彦左衛門の『三河物語』と斎藤親盛の『可笑記』を取り上げた。『可笑記』が危険な書物として、幕府の中で話題になり、斎藤親盛は、慶安の変を画策した由比正雪とも会っている。近代作家の想像力の産物ではあるが、私などには、大変参考になる。今回の鈴木正三にしても、この小説で、学ぶ事が多い。

■■『鈴木正三 武将から禅僧へ』

■■『老虫は消えず 小説大久保彦左衛門』