待望の 『嬉遊笑覧』 全5冊 完結 !!

●待ち望んでいた大著、喜多村筠庭の膨大な考証随筆『嬉遊笑覧』全5冊が完結した。2009年3月17日発行、岩波文庫、定価900円+税。長谷川強氏の解説と100頁に及ぶ詳細な索引が付されている。思えば待ちに待った完結である。

●この岩波文庫版は、長谷川強・江本裕・渡辺守邦・岡雅彦・花田富二夫・石川了の6氏によって厳密な校訂を得て刊行された。第1冊目は2002年4月16日、第2冊目は2004年2月17日、第3冊目は2004年7月16日、第4冊目は2005年8月19日、のそれぞれ発行である。続く、第5冊目の刊行が遅れていた。周到な解説と大部な索引のゆえであろうか。とにかく、この度、完結して、私達は長谷川先生はじめ校訂者の大変な御努力のお蔭で、この有益な著作の活用ができるようになった。この学恩に、心から感謝しなければならない。

●私は、近世文学を専攻してきたが、初期に力点をおいた関係か、元禄以後の江戸社会の変遷や実状に関心が向かなかった。途中から反省して、江戸の考証随筆を濫読して、その欠を補おうとしたが、未だ不十分である。何を勘違いしたのか、テレビの、○○雑学とかいう番組の担当者から、時々、質問の電話があるが、殆ど回答は出来ない。この種の、素養は、研究の出発から心掛けないと無理である。若い研究者は、この度の『嬉遊笑覧』などの、江戸後期の考証随筆を是非読んでおいてもらいたいと思う。

■『嬉遊笑覧』の詳細目次→http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■■『嬉遊笑覧』第5冊