『源氏物語』注釈書の版木 発見

●今日の朝日新聞の報道によって、奈良大学の永井一彰氏が、奈良大学所蔵の版木を調査中に、天明4年(1784)に刊行された『源氏物語』の注釈書『源語梯』(げんごてい)の版木を発見されたという事を知った。写真も出ている。版本は上中下の3巻で小型の本だと言う。永井氏は、平成15年には近世初期の仮名草子『因果物語』の版木を発見報告された。これは全編揃っていて、貴重なものであった。その後も、版木の調査研究を継続され、多くの論文を発表しておられる。今回、報告された『源語梯』は、書誌学的にも著者関係など、少なからず問題のある著作であり、今後の、研究の進展が期待される。

●近世に入り、古典の注釈は活発になり、とりわけ、北村季吟の活躍は目覚しい。『源氏物語湖月抄』『百人一首拾穂抄』『枕草子春曙抄』『徒然草拾穂抄』『徒然草文段抄』『大和物語抄』など、膨大な注釈書を著している。現在、『源氏物語』1000年と騒がれていて、現代語訳もたくさん出版されているが、それらのベースになった、季吟の『湖月抄』の役割は大きい。

■『湖月抄』北村季吟著 延宝元年(1673)成立。

「あさがほ」巻 表紙


巻名の説明


巻頭 2丁オ


巻頭 2丁ウ