研究はマニア

●今日、見知らぬ若い研究者から論文を頂いた。近世初期の仮名草子可笑記』を論じたもの。長年、私がこの作品を手がけているので送って下さった訳である。有難いことと、感謝している。
●学生の頃、この作品を卒論に選んで、毎日、毎日、作品を読み、調査を続けた。本を読んでも、雑誌・新聞を見ても、「可笑記」「可笑」の文字が、すぐ目に飛び込んできた。「可笑」は「おかし」であり、これでは、満足は出来ない。でも親戚のようなもので、好きな言葉であった。「可笑記」の文字のある文献は、どんなに些細なものでも収集した。一種の熱中人である。コピー機も無く、ましてネット検索など無い時代である。自ら本を読み、発見するほかは無かった。
●「可笑記評判」「可笑記跡追」「続可笑記」「新可笑記」「一休可笑記」「後前可笑記」「前句付可笑記」「後可笑記」「歎異抄可笑記」。呆れてしまうほど「可笑記」という書名は、近世の著者や読者に好まれ、利用されていたようである。
●今日、頂いた論文に、当然ではあるが、この書名が頻出するので、我が事のように嬉しくなった。


■これは、万治2年(1659)に出版された絵入本。菱川師宣風の挿絵がたくさん入っているので、人気があった。私は、この貴重本を、横山重先生から頂いた。