オオタカの森の 蝉しぐれ

●昨日の散歩は、オオタカの森のコースであった。真夏の深い深い緑の森の中は、ひんやりとして、空気も宜しい。広大な森林の中は、今、セミの力強い鳴声で覆われていた。私が進むと、用心したのだろう、声は小さくなる。短い命の絶唱を、できるだけ妨げないように、静かに歩いた。

■頓て死ぬ けしきは見えず 蝉の声   芭蕉

間もなく死ぬのであろうのに、そんな様子は少しもみせずに、蝉は、ただひたすら鳴いている。

●この力強い鳴声の主が、短くはかない寿命の蝉であると思うと、それは意外でもあり、しみじみとした哀れさを誘うものともなる。芭蕉は、そんな感情を短詩に詠んだ。蝉の力強さが眼目であり、生に対する共感であろう。

●昨日は、良い散歩になった。