そも医道というは・・・

熊本県八代市の元島産婦人科医院は、元禄6年(1693)、初代・宗閑の創業という歴史を持つ。その機関誌『こうのとり便り』平成14年7月号に、『可笑記』の1節を引用している。
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こうのとり便り
平成14年7月号(第12巻7号)  
院内ニ ュ ー ス
 『医道と云(いう)は、わが身上富栄ふべきためにはあらず、万民の病をいやし、諸人の愁苦をすくひたすべきためなり』(如儡子)。
 先月8日、63歳の誕生日を迎えました。医道を志したのが医学部へ入学した年としますと、既に半世紀に近い44年余の歳月が流れました。1年間のインターン生活を終え、昭和40年4月、熊本大学産婦人科に入局させて戴き37年間、産婦人科医の道を歩み続け、諸人の愁苦を救いたく『心の通う診療』を念頭に診療し、私たちと患者様がともに喜びも悲しみも分かち合えるように広報紙『こうのとり便り』を発行しております。創刊号が平成3年6月8日(院長の誕生日)で、本院で発行している『こうのとり便り』を再編集し、インターネットに掲載し始めたのが平成9年4月号からです。『こうのとり便り』も増刊号などを含めると、150号目の発行となりました。学生時代には文学書に親しむこともなく、文才にも恵まれない浅学非才の身で、幼稚な文を綴り続けることは大変な勇気を要します。人様に笑われることを覚悟で、毎月、地獄のような苦しみの中で文字を綴っています。それでも、本院で誕生された赤ちゃんの姿を本院のHPを開いた方々に見て戴き、本院のバーベキューに参加した多くの外国人達が世界のどこかで、本院のニュースを見ていてくれると思うと、地獄のような苦しみの中でも発行を継続している次第です。ご助言やご意見がありましたらお聞かせ戴き、なお一層、皆様方に喜んで戴けれる広報紙にしたいと思っています。
医療法人社団 宗 閑 会
元島産婦人科医院
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●これは、『可笑記』巻4の27段である。この段は、当世の医者の心得に関して説いているが、3丁・6頁に亙っている。
「・・・そも、医道と云は、わが身上とみさかふべきためにはあらず。万民の病をいやし、諸人の愁苦をすくひたすくべきためなり。されば、かくのごとく心得つつしみ、れうぢせんには、天、是をかんじ、をのれが身上とみさかへ、そくさいにて、万めでたかるべし。・・・」
如儡子・斎藤親盛の文章は、今の人々の心にも響くところがある。優れた典籍を読み、それをやさしく表現しているので、近世初期の啓蒙期に迎えられたのであろう。
■元島産婦人科医院

■『可笑記』巻4の27段