森川 昭 先生の大著 成る

俳諧研究の大家、森川昭先生のライフワーク『下里知足の文事の研究』全3冊が完成し、出版された。この大著の完成に対して、心から祝福申し上げる。

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西鶴芭蕉の書翰をはじめ千代倉家伝来の貴重な資料の種々相を解明した研究の精華】
第二部論文篇は新稿「下里知足の生涯」を巻頭に据え、旧稿27篇を加筆修正して収録した。若年時桑名伊藤家寄寓時代の知足に初めて照明を当て、西鶴芭蕉の書翰他を紹介して西鶴法体の時期や『野ざらし紀行』後の芭蕉東海道東下説を証明し、高政・荷兮等の動向、『熱田宮雀』『千鳥掛』の成立、千鳥塚・粟塚の建立、をも論じた。
第三部年表篇は日記から文事・芸能・風俗・知足生涯の特記事項を抄記し、『誹諧聞書』の紙背文書他の日記以外の関連資料も多く翻刻して加え、年表であると同時に「下里知足資料集」たるべく意図した。

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●第1部、日記篇。第2部、論文篇。第3部、年表篇。全3冊合計2000余頁。オビには、
著者の四十有余年に及ぶ研究成果 ここに結実
畢生の大著 近世俳文学研究の集大成!!
とある。文字通り、そのような、著者の生涯をかけた研究であり、その大研究の成就であり、出版である。
●第3部、年表篇に、私は目を瞠った。慶長2年(1597)から正徳5年(1715)に及ぶ120年間の、下里知足の家の年表で、380余頁の分量である。森川先生は、

 「本書第三部年表篇は、下里知足の日記から文事・芸能・風俗・知足生涯の特記事項を摘記し、併せて日記以外の関連資料を加えて編んだものである。関連資料は調査し得た資料をなるべく広く網羅し、「下里知足資料集」を意図したものである。」

と述べておられる。私は、野間光辰氏の『西鶴年譜考証』、高田衛氏の『上田秋成年譜考説』を思い出した。いずれも優れた年譜で、これまで、お手本にしてきた労作である。ここに、新たに、森川先生の「資料集」というお手本が提出されたのである。私は、仮名草子研究を志す者で、言ってみれば門外漢である。しかし、このような、優れた「年表」のお手本を目の前にして、御学恩に感謝せずにいられない。
●この大著を、これから、ゆっくり拝読し、お手本にして、自分の研究に努めたいと思う。
★本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm
■『下里知足の文事の研究 第二部 論文篇 第三部 年表篇』

■寂照(知足)画像

■下里知足墓 知足夫妻墓

■『下里知足の文事の研究 第一部 第二部 第三部』