追悼 野澤勝夫先生 

●昨日、野澤勝夫先生の弟さんからお手紙を頂いた。野澤先生は、昨年9月永眠なされたという御連絡である。

 謹んで 心からお悔やみ申し上げます
●昨年、6月、『芸文稿』第7号をお送り申し上げたところ、心のこもった御返事を下さった。御感想として、

 この号を読んで、先生の人生には確かな“邂逅”があったことを感じます。“邂逅”が高邁な意志を前提として成立することを思いますと、重友先生・長澤先生・横山先生との出会いが、大きかったとつくづく感じます。

●このようなお手紙を認められたあと、3ヵ月後に御他界なされたことになる。野澤先生は、弘前学院大学を定年退職なされ、郷里の石和温泉に転居され、悠々自適の生活を始められた矢先であった。
人の世は、誠に儚い。
●野澤先生は、山梨の甲府一高から東京教育大学に進まれ、中田祝夫先生の御指導を受けられた。私は身延高校ということもあって、非常に多くのことをお教え頂いた。先生は法華経の研究をされていたので、仏教に関しても御指導を賜った。
鹿島則孝の『桜斎随筆』を何とか世の送り出したいという、私の希望を受け入れて下さり、二人で、中田祝夫先生の御自宅に伺って、御指導を頂いたこともあった。また、先生は勤務する大学の紀要に『桜斎随筆』の内容を紹介しても下さった。
●野澤先生には、何回も海外旅行に連れて行って頂いた。私は、いつも、先生の後を着いて行って、いろいろ教えて頂いた。海外旅行を共にした、平林文雄先生・白川吉之助先生・野澤勝夫先生が、昨年亡くなられた。また、常に同行していた、梶木剛先生は、すでに、2010年に亡くなられた。私だけが残ってしまった。
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『「仮名書き法華経」研究序説』
 野澤勝夫 著
  
 2006年3月30日・勉誠出版発行
 A5判・402頁・13000円+税
 
目  次

序にかえて
<論考篇>
 一、『法華訳和尋跡抄』所引の仮名書き法華経について
   ―「妙一本群」の祖本を求めて―  
 二、「瑞光寺本」について 
 三、「月ガ瀬本(付)矢代本」について 
 四、「法華経切れ」に見る仮名書き法華経  
   ―「翻訳法華経」の存在―
 五、「絵巻」のなかの仮名書き法華経 
   ―「簡約仮名書き法華経」の存在―
 六、仮名書き法華経に見る謙譲の「給フ」の消長
<資料篇>
 〔比較、考察〕
一、瑞光寺本 (妙一本との比較、考察資料) 
  如来寿量品 第十六 
  分別功徳品 第十七 
  随喜功徳品 第十八 
  法師功徳品 第十九 
  常不軽菩薩品 第二十 
  如来神力品 第二十一 
  嘱累品 第二十二 
  薬王菩薩本事品 第二十三 
  妙音菩薩品 第二十二-四 
二、月ガ瀬本 (妙一本との比較、考察資料) 
  譬喩品 第三 (三車火宅の譬え) 
  信解品 第四 (長者窮子の譬え) 
  薬草喩品 第五 (三草二木の喩) 
  化城喩品 第七 (化城宝処の喩) 
  五百弟子授記品 第八 (衣裏繋珠の譬え) 
  安楽行品 第十四 (髷中珠の譬え) 
  如来寿量品 第十六 (良医の譬え) 
 〔翻字〕
一、瑞光寺本 
二、月ガ瀬本 
あとがき 
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■野澤勝夫 著『「仮名書き法華経」研究序説』

オリンピアにて 平成5年8月
 左より、野澤先生、平林先生、白川先生、深沢、梶木先生