村上春樹寄稿に共感 中国の作家

●今日の朝日新聞によると、中国の作家・閻連科氏が、9月28日付朝日新聞掲載の村上春樹氏のエッセーに共感したと、アメリカのインターナショナル・ヘラルド・トリビューンに寄稿したという。
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 閻さんは中国社会を風刺した作品などで知られる著名作家。6日付の「アジアの対立を和らげる言葉」と題した文章で、村上さんとノーベル賞作家の大江健三郎さんの文章に「深く心を動かされた」と明かしている。日中の対立に対して、仲間である文学者たちから理性的な声が上がるのを待ち焦がれていたという。

 とりわけ村上さんによる朝日新聞への寄稿を中心に論じ、「安酒の酔い」という表現で領土問題が国民感情をあおる危険性について指摘したことに賛同を示した。「日本の文学者たちは対話のきっかけを先んじてもたらした。彼らの人間性と勇気に比べ、中国の作家として返答の遅さを恥じる」

 中国国内で起きた反日デモについては、「中国の作家として破壊行為に参加した同国人たちを恥じるが、彼らの言葉にならない無力感と欲求不満に同情する」と打ち明けた。

 さらに、「文化と文学は、人類共通の絆である」と村上さんのエッセーに共鳴し、「文化や文学という私たちの存在の根が断ち切られようとしているときに、領土は本当に重要なのだろうか」と結んだ。

 閻さんは河南省の農村出身で、魯迅文学賞、老舎文学賞を受賞。人民解放軍の兵士と師団長の妻の不倫を描いた「人民に奉仕する」や、故郷・河南省の「エイズ村」を舞台にした「丁庄の夢」は、中国内で原作が発禁処分となったり、重版が差し止められたりしている。

 ヘラルド・トリビューンは米ニューヨーク・タイムズ紙の国際編集版。閻さんの寄稿はオピニオン面のトップだった。(ニューヨーク=真鍋弘樹)
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★→ 2012-09-28 魂の行き来する道筋

朝日新聞デジタル 10月8日