赤本 『京都大学 文系 2012』

●赤本『京都大学 文系 2012』が書店に並んでいた。2011年出題の国語の問題・解答が掲載されていて、『井関隆子日記』についても詳細な解答・通釈・着眼などが掲載されている。さらに、「参考」として、

「『井関隆子日記』は、江戸時代後期の武家の女性が雅文体・擬古文で書いた日記である。天保11年(1840)1月1日から、天保15年(1844)10月11日までの約5年間の記録からなる。本文の箇所は、天保11年5月26日、筆者56歳の時の記事である。筆者の井関隆子は、古典文学や和歌に造詣が深く、賀茂真淵本居宣長らの著作から独学で国学を学んだらしい。センター試験で、1999年度に国学的なテーマの箇所が出題されたことがある。」

と記している。井関隆子も、『日記』も、次第に認められてきているようで、嬉しい。文体について、「雅文体・擬古文」としておられるが、近世後期の文学作品の文体研究が進めば、この日記の文体が擬古文ではないことが明らかになるはずである。それには、もう少し年月が必要だろう。

■『京都大学 文系 2012』 2011年6月20日発行