『甦る五重塔 身延山久遠寺』

●鹿野貴司著(写真)『甦る五重塔 身延山久遠寺』が刊行された(2010年4月5日、平凡社発行、3800円+税)。身延山久遠寺五重塔は平成21年(2009)5月、2年間の工事を経て落成した。本書は、写真家・鹿野貴司氏が、その完成までの詳細を写真で記録したものである。新聞広告で知り、注文していたが、今日、届いた。見事な写真集である。

●鹿野貴司氏は、1974年東京生まれ、多摩美術大学卒、両親が千葉内房の出身で、日蓮聖人生誕の地ゆえ、鹿野家も敬虔な日蓮宗の檀家であった。そんな縁で、2年間の五重塔製作過程を写真で記録するチャンスに恵まれたという。収録写真、1枚1枚に、著者の日蓮聖人への敬虔な想いが感じられる。

身延山久遠寺五重塔は、元和5年(1916)5月建立、しかし、文政12年(1829)落雷で焼失、その後、再建されたが、明治8年(1875)全山焼失する大火で、その姿は失われたという。それが、この度、発願から5年の歳月を経て、三度、建立されたのである。

久遠寺五重宝塔元和五年建立棟札は、秋山敬先生が調査された『山梨県棟札調査報告書 河内Ⅰ』(平成9年3月31日発行)に記録されている。また、この度の3回目の建立の棟札は、鹿野氏の「身延山五重塔 復元までの道のり」に写真が掲出されている。

■■鹿野貴司著『甦る五重塔 身延山久遠寺


金剛組の宮大工の人々

■宗祖・日蓮聖人へ落慶報告


■今回建立の棟札

■元和5年建立の棟札 『山梨県棟札調査報告書 河内Ⅰ』